【ドラッグストアの一日】お子さまへの解熱剤販売時に確認しておきたいこと
皆さんは「子どもが熱を出したんですが、どの解熱剤がいいですか?」というお客さまの質問に、迷わず適切な商品を勧められますか?また、症状が重いお客さまに、医薬品の販売ではなく病院への受診を勧める判断基準を持っていますか?
今回はお子さまの解熱剤の選び方や受診勧奨するポイントについて解説します。
なぜ「お子さまの解熱剤選び」と「受診勧奨」が難しいのか?
医薬品を適切に選んだり、自信をもっておすすめしたりできないと悩む登録販売者の方は少なくないと思われます。とくにお子さまが服用する解熱剤は選定の難易度があがります。
解熱剤選びの基本は、商品に書かれている用法用量を守ることです。しかし、解熱剤は、年齢によって使用できない商品があります。また、形状や味など、お子さまが飲みにくさを感じたり、服用中の薬がある場合には併用できなかったりすることもあります。
登録販売者は、たくさんの種類がある解熱剤の中から、これらの条件をクリアできる候補を素早く選び出すことが求められます。しかし、商品知識や判断手順が身についておらず、ぎこちない接客をすると、お客さまを不安にさせてしまいます。
一方、症状が重いと判断した場合、金銭的な利益を優先せずに受診勧奨する必要があります。ところが見た目では具体的な症状がわかりにくい場合は、医療機関の受診を勧めるべきなのか判断しにくくなります。
そうした難しさを感じさせる原因は、適切な解熱剤を選ぶだけでも気を付けるべきことがあり、さらに商業的な目標に反する判断も求められるからです。お客さまの健康と信頼を第一優先にすると決めていても、具体的な判断の線引きをわかっていなければ、お客さまを前にして悩んでしまうことになります。
「お子さまの解熱剤選び」と「受診勧奨」の苦手意識を克服するには
「お子さまの解熱剤選び」の悩みは、教育と経験により克服することが可能です。まずは、解熱剤の成分についての知識が必要です。
アセトアミノフェンを含む解熱剤は小児によく用いられますが、これを売ればよいと短絡的に決めてはいけません。同じ症状でもお子さまの年齢や体調、飲み込める形状により、適切な解熱剤は変わります。商品に書かれている用法用量をしっかりと頭に入れ、条件にクリアできる解熱剤をすぐに選び出せるように訓練を重ねましょう。
次に「受診勧奨」です。登録販売者は、お客さまの症状が重いと判断した場合、市販薬の服用ではなく、医師の受診を勧めることが求められます。大切なのは、その症状が薬で緩和できるレベルなのか、またはそれ以上のものなのかを見極める力を育むことです。
判断を確実なものにするために、自身の知識と経験だけでなく同僚や先輩、上司の経験知も学び取りましょう。
なお「登録販売者が今最も取り組むべき「受診勧奨」とは?」では、受診勧奨に関する詳細なガイドラインが紹介されています。お客さまや患者さまの症状や年齢、症状の持続期間に基づいて受診勧奨する条件が詳しく説明されているので、目を通しておくとよいでしょう。
まとめ:登録販売者がお子さまの解熱剤選びと受診勧奨で心掛けること
登録販売者が抱える「お子さまの解熱剤選び」や「受診勧奨」の難しさは、薬の成分や効能、使用制限を把握し、症状の程度や状況を見極める能力が求められることが原因です。しかし、これらの悩みは経験と知識の積み重ねにより解決へと導くことが可能です。
お子さまの解熱剤の選び方は、まず成分の違いを理解し、それぞれの効能や制限、用途を覚えることから始まります。さらに、お子さまの病状や体調に応じて最適な解熱剤を選べるようになるためには、具体的な商品知識やお子さまの病態を理解することが必要です。
一方、受診勧奨のスキルは症状の重さや進行状況を把握し、適切なタイミングで判断する力が必要となります。そして、この能力は知識学習だけでなく現場での経験からも培われます。
初めは難しく感じるかもしれませんが、問題や悩みに対して一つひとつ正面から向き合い、自分なりの解決策を見つけて実行することが大切です。また、自分だけで悩まずに、周囲の登録販売者や仲間、上司などと情報を共有し、協力し合うことも有効です。少しずつでも悩みを解消し、実際の店頭での接客へ生かしてみましょう。

漫画:玖米(漫画家・登録販売者・ドラッグストア、調剤薬局経験有)
連載作品
双葉社様→『家族に役立たずと言われ続けたわたしが、魔性の公爵騎士様の最愛になるまで』1~3巻発売中
秋田書店様→『婚約破棄された可憐令嬢は、帝国の公爵騎士様に溺愛される』月刊プリンセスにて掲載
登録販売者としての視点で漫画を描いています
好きな抗生剤はレボフロキサシン
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